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乾癬にまつわる記事一覧

治療目標を持つことが、
なりたい自分に近づく一歩に

乾癬との向き合い方や、患者さんが抱える日常生活の悩みをオープンに語り合い、乾癬への正しい理解を深める第2回 SALONイベントが、2019年12月に福岡で開催されました。

前回に続き、皮膚科専門医、一般社団法人INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会(以下、INSPIRE JAPAN)のメンバー、「FACT FASHION」のパートナー企業である「リバースプロジェクト」の代表らが登壇し、乾癬にまつわる様々なテーマで議論が繰り広げられました。

皮膚科専門医への早めの受診が、
正しい治療法に結びつく

前半は、皮膚科専門医による乾癬を正しく理解するためのミニレクチャーと、INSPIRE JAPANを交えた議論が行われました。

まず、福岡大学医学部皮膚科学教室教授の今福信一先生からは、乾癬の原因や症状、治療法についてのお話がありました。

福岡大学医学部皮膚科学教室教授 今福信一先生

福岡大学医学部皮膚科学教室教授の今福信一先生

今福先生「乾癬の症状は皮膚や関節の病変など、多岐に渡ります。しかし、医療は進歩し、今ではさまざまな治療ができるようになりました。医師と相談しながら、ご自身が納得できる治療法を選択することが大切です」

続いて、INSPIRE JAPANの田中政博さんも登壇し、約30年前に乾癬を発症してからこれまでの経験が語られました。最初に体の異変に気が付いたのは、仕事でポスターを張っていたとき。「手の爪が厚くなって、画びょうを壁にとめるのが難しいな……」と感じたそうです。しかし、発症当時は“そのうち治るだろう”と楽観的に考えていたと話します。

田中さん「しばらくすると、爪の異常だけではなく、全身に湿疹が現れはじめ、顔はまるで赤鬼のようになりました。発症して1カ月後、私の症状を見かねた同僚から病院での診察を勧められ、皮膚科を受診しました。診断の結果は尋常性乾癬でした。その時、医師から一生付き合って行かなければならない病気だと説明を受け、とてもショックでしたね」

INSPIRE JAPAN 田中政博さん

INSPIRE JAPAN 田中政博さん

今福先生「田中さん同様、乾癬の症状が現れても、“そのうち治るだろう”と思っていた患者さんはとても多いです。あるデータでは、症状を認識してから初診までに2年弱かかるケースもあるようです。乾癬のことを知らない方が多く、“症状を診てもらうのが怖い”という方も少なくないのではないでしょうか。また、乾癬であることを伝えると、“感染るのか” “今後どうなるのか”と心配される方がいます。乾癬について正しい情報がまだまだ十分には知られていないということです。皮膚に異常を感じたら、なるべく早く皮膚科を受診しましょう」

田中さん「私の経験としても、自分一人で悩まず、早く皮膚科専門医にかかることが、自分にあった治療法に結びつく一歩だと思います」

「乾癬は感染うつらない」。
社会全体で正しい理解を

「乾癬は感染らない」。社会全体で正しい理解を

日野皮フ科医院院長の日野亮介先生からは、診察時に見られる乾癬患者さんの悩みについての共有がありました。日野先生は日頃から「乾癬は感染せんバイ!」という博多弁を織り交ぜたキャッチフレーズを掲げ、乾癬の啓発活動を続けています。

日野先生「乾癬は認知度の低さから、“感染うつるのではないか”と誤解されることが多い病気です。患者さんの多くが、周りの人に誤解されることへの悩みを抱えています。『乾癬は人に感染らない』。この一点をしっかり伝えていきたい。患者さんの悩みを少しでも解消するには、社会全体の正しい理解が必要です」

日野皮フ科医院院長 日野亮介先生

日野皮フ科医院院長の日野亮介先生

日野先生によるミニレクチャーの後、九州在住時に日野先生に診てもらっていたINSPIRE JAPANの角田洋子さんと、今福先生が再度登壇し、乾癬との向き合い方について意見が交わされました。

角田さん「日野先生は診察の度に、乾癬に関する正しい知識を説明してくれて、気持ちが前向きになるような言葉をたくさんかけてくださいました。私にとってはそれがとても励みになりました。今、私は九州から群馬県に引っ越し、そこで『群馬乾癬友の会』の代表を務めています。そこで聞く患者さんの主な悩みは、乾癬のことや治療についてわからないことが多い、新しい治療は不安で怖くてできない、治療費が高くて希望する治療が受けられない、といったものです。これらの悩みにはそれぞれ打開策があるのですが、それを知らないがために、自分にあった治療法を見逃してしまう場合があります。そういったことを防ぐためにも、医師や患者会の仲間などに悩みを相談することが大事です」

INSPIRE JAPAN 角田洋子さん

日野先生「患者さんと医師が良いコミュニケーションを取るためにも、お互いに理解し合い、目標を立て、治療に向き合っていくことが大事だと思います。それぞれの方にとっての“正解”に辿り着くまでには時間がかかることもありますが、あきらめないことが大切です」

今福先生「大事なことが二つあります。日野先生がおっしゃったように、一つは治療目標を持つことです。○○がしたい、こうなりたいなど、具体的な目標を持って治療をすることが必要です。もう一つは、情報を得ること。乾癬についての知識、治療法のこと、治療にかかるお金のこと……自分にあった治療を続けるために、医師や同じ悩みを持つ患者さんに聞くなど、積極的に情報を得ることで答えが見つかりやすくなると思います」

メイク&スキンケアはやさしく擦らず、
しっかり保湿

イベント後半は、患者さんが抱く日常生活での疑問の中から、「お肌のケア」「食事」という二つのテーマについて、福岡大学医学部皮膚科学教室の鶴田紀子先生、伊藤皮膚科副院長の伊藤宏太郎先生、INSPIRE JAPANの田中さんと角田さんの4人による議論が行われました。

角田さん「私は普段から保湿を心がけています。患者さんの中には、“お化粧をするために治療を頑張る”という方もいます」

鶴田先生「メイクすると気持ちが上がりますよね。ただし、注意点があります。肌を擦らないことと、スキンケア用品は刺激が強くないものを選ぶことです。また、メイク後は適切に洗い流し、肌を清潔に保つことも大切です。メイク汚れや外用薬の脂分が残ったままだと、かゆみのもとになる場合があるからです。肌の洗浄は朝と夜の1日2回、洗顔料を泡立てて、擦らずやさしく洗い、ぬるま湯で流すことをおすすめします。少し面倒だなと思う方は、泡タイプのものを使うのも良いでしょう」

福岡大学医学部皮膚科学教室 鶴田紀子先生

福岡大学医学部皮膚科学教室の鶴田紀子先生

伊藤皮膚科副院長 伊藤宏太郎先生

伊藤皮膚科副院長の伊藤宏太郎先生

田中さん「食事に関しては、正直あまり気をつけていません……。ただ、食べすぎやお酒を飲みすぎないようにはしています。あと、時折運動することで食べた分の調整をしています。私は歩いたり、ボーリングをしたりして汗を流しています」

伊藤先生「乾癬に関しては、食べ物で“これがいい・悪い”というものがわかっていません。ただ、内臓脂肪が蓄積すると、乾癬の症状が悪くなるということがわかっています。その意味では、栄養バランスの取れた食生活と、腹八分目を心がけることです。お酒は適量を守れば問題はないと思います」

この他、イベントでは患者さんの心と身体に寄り添ったアパレルプロジェクト「FACT FASHION」の試作品がお披露目されました。実際に試作品に袖を通した角田さんからは、「隠すことばかり考え、これまではファッションを楽しめなかった。でもFACT FASHIONのようなおしゃれで着心地の良い服ができたら、悩みが軽減します!」と喜びの感想が語られました。

「リバースプロジェクト」共同代表・亀石太夏匡さん(左)と、プロデューサーの藤澤はるかさん(右)

「リバースプロジェクト」共同代表・亀石太夏匡さん(左)と、プロデューサーの藤澤はるかさん(右)

その後、参加者全員での交流会が行われ、患者さん同士での近況報告はもちろん、皮膚科専門医や専門家に直接話を聞ける絶好の機会とあって、立場の垣根を超えて、会場は大いに賑わいました。今後の乾癬にまつわるイベントにも、ぜひご注目ください。