それは「乾癬(かんせん)」という皮膚の病気で、
乾癬を知ってほしい。 乾癬患者さんの心に触れてほしい。
そんな願いとともに、 このアートイベントは開催されました。
実際の展示では、カメラのフラッシュに反応する
乾癬の症状をアートとして表現しました。
偶然席が空いている電車内のように見えますが、
そうやって自分を精神的に追いつめてしまうことがあるのです。
よくある会議の様子に見えますが、乾癬患者さんにとっては、
仕事に集中すればするほど、無意識に患部を掻いてしまう。 ふとした瞬間、そのことに気づき、周りに見られていないかハッとする。 そして、皮膚片が剥がれ落ちていないか、乾癬であることを 知られてしまったのではないかと、不安を感じることも少なくありません。
乾癬があるために、美容院や理髪店に抵抗を感じる患者さんがいます。
一見、おしゃべりを楽しんでいるように見えますが、実際は、 嫌な顔をされていないか不安を感じ、むしろ患者さんが気を遣ったり、
乾癬があまり知られていないので、言い訳をしてごまかしてしまうことも。 髪を切ってリフレッシュするはずが、
ストレスをため込んでしまうことになるのです。
誰もが経験する恋人との甘いひと時。
この作品は、そんな時間でさえ、相手の反応や本音が気になるあまり、 どうしても性的な関係を持つことを避けてしまう乾癬患者さんを描いています。
互いのことを理解し合っているはずなのに、 それでも勇気を出さないと自分の身体を見せることができないのです。
乾癬は、未だに根治療法が見つかっていない、慢性の皮膚疾患です。世界で約1億2,500万人、日本では約50〜60万人1)2)の患者さんがいるとされ、近年増加傾向にあります。3)
乾癬になると、皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、皮膚が盛り上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、その表面を覆う銀白色の細かいかさぶた「鱗屑(りんせつ)」、それがフケのようにボロボロと剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」が起こります。
乾癬は、本来自分の身を守るための免疫細胞が過剰に働くことが主な原因と考えられていて、乾癬患者さんは、通常の肌よりもターンオーバーが早くなり、たくさんの皮膚がつくられ、はがれ落ちます。
1) Kubota, K., et al.: BMJ. Open., 5:1, 2015.
2) 照井正 他:臨床医薬, 30:279, 2014.
3) T. Ito et al; J Dermatol. 2018 Mar;45:293-301
最後の展示作品は、来場者の手でつくりあげていくもの。
「乾癬を正しく理解した意思表示」として花で作品を装飾することで、 わたしたち一人ひとりの行動が、乾癬患者さんの日常を 明るく前向きに変えられることを表現しています。
この展示は終了しました。
たくさんのご来場ありがとうございました。