総合監修:社会福祉法人聖母会聖母病院 皮膚科部長 小林 里実 先生

掌蹠膿疱症を知ろう
掌蹠膿疱症の治療法
掌蹠膿疱症のQ&A

掌蹠膿疱症を知ろう

薬物療法などについて

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外用療法(塗り薬)の注意点

塗り薬はすりこまず、やさしく伸ばすことが大切です。また、塗るときにも鱗屑(りんせつ)(白いかさぶたのような角質)をむいたりするなどの刺激を与えないようにしましょう。保湿を心がけることも大切です。

■すりこまず、やさしく伸ばして塗りましょう
塗り薬は正しく使用することが大切です。こするように強くすりこんだ方がよく効くと思うかもしれませんが、刺激により症状が悪化してしまうこともありますので、やさしく伸ばすように塗りましょう。

■塗り薬や塗り方は医師と相談しながら調整しましょう
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は症状が変化するため、薬の種類や強さ、塗る回数を調整する必要があります。前回受診してからの症状の変化や、現在の状態などを伝え、医師と相談しながら調整しましょう。

■保湿を心がけましょう
手のひらや足のうらは、毛穴がないため皮脂が乏しく、乾燥しがちです。掌蹠膿疱症では炎症が起こっているため、より乾燥します。さらに角層が厚いため、ひび割れを起こしやすくなってしまいます。常にしっとりした保湿状態を保つことが大切です。

■気になる症状が現れたらすぐに相談しましょう
塗り薬によって、かゆみや刺激感などの皮膚の副作用が起こることがあります。少しでも気になることがあれば、すぐに主治医や薬剤師に相談しましょう。

光線(紫外線)療法とは

皮膚に紫外線を照射して症状の改善を促します。用いる紫外線の波長によって特徴が異なり、「外用PUVA(プーバ)療法」、「ナローバンドUVB療法」などがあります。
光線(紫外線)療法は、紫外線の「免疫の働きを弱める作用」を利用した治療法で、紫外線を病変に照射します。皮膚の病変に対して、外用療法だけでコントロールが難しい場合に行われます。

光線療法の詳細や注意点など気になることがある場合は、主治医に相談しましょう。

内服療法とは

外用療法(塗り薬)や光線(紫外線)療法で効果不十分な場合や、関節炎などがみられる場合に使用されることがあります。
内服療法の詳細や注意点など気になることがある場合は、主治医に相談しましょう。

注射療法(生物学的製剤による治療)とは

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の症状は、体の免疫システムにかかわる「サイトカイン」が関与していると考えられています。
サイトカインとは、様々な刺激によって白血球などの細胞から産生されるタンパク質で、他の細胞へ指令をだす働きをしています。
掌蹠膿疱症では、いくつかのサイトカインが複雑に関与し、症状を引き起こすと考えられています。いずれも体の免疫システムにかかわる重要なサイトカインですが、過剰に増えることで炎症などが起きてしまいます1)

1) Murakami,M., et al.: Exp. Dermatol., 20: 845, 2011

生物学的製剤は、体の免疫機能にかかわる物質である「サイトカイン」の働きを弱める薬です。
生物学的製剤は生物が作り出すタンパク質をもとに作られた薬です。従来の治療方法では十分な効果が得られなかった患者さんに用いられ、特定の医療機関(生物学的製剤承認施設)でのみ治療を開始することができます。

※ 日本皮膚科学会生物学的製剤検討委員会が承認した施設。日本皮膚科学会ホームページの「一般市民の皆様」>「生物学的製剤承認施設一覧」に掲載。