総合監修:社会福祉法人聖母会聖母病院 皮膚科部長 小林 里実 先生

掌蹠膿疱症を知ろう
掌蹠膿疱症の治療法
掌蹠膿疱症のQ&A

掌蹠膿疱症を知ろう

掌蹠膿疱症にはどんな治療がありますか?

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掌蹠膿疱症の治療法

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の治療には悪化因子の除去や薬物療法などがあります。さらに、日常生活で気をつけるポイントも重要です。
掌蹠膿疱症の治療について、明確な治療指針は現在のところありませんが、原因と考えられる要因を検討し、患者さんごとの症状に合わせて治療が行われます。
治療法には悪化因子の除去や薬物療法などがあります。悪化因子の除去では、病巣感染(びょうそうかんせん)の治療が行われます。いずれも自覚症状がないことが多いのですが、治療にあたって、歯科や耳鼻咽喉科の受診が必要になる場合もあります。また、喫煙も悪化因子のひとつであると考えられているため1)、禁煙することが大切です。掌蹠膿疱症と金属アレルギーの関連も考えられていますが、歯の詰め物(金属)の除去だけでよくならない例もあります2,3)
(詳細は「掌蹠膿疱症の悪化因子」を参照)
掌蹠膿疱症の薬物療法は、外用療法(塗り薬)、内服療法(飲み薬)、光線(紫外線)療法、注射療法(生物学的製剤による治療)があり4)、症状に応じて患者さんにあった治療法を選択します。

日常生活で気をつけるポイントとして、清潔な口腔環境を保つこと、風邪や扁桃炎の予防、皮膚への刺激を避けることなどがあります。その他、便秘や下痢の改善、規則正しい食生活、ストレスを溜め込まないことなども心がけるようにしましょう。

※ 扁桃炎、歯の根っこや周囲に潜む無症状の歯周炎[歯性病巣(しせいびょうそう)]、副鼻腔炎など

掌蹠膿疱症の治療法

悪化因子の除去など

  • 扁桃炎や歯周炎、副鼻腔炎の治療
  • 禁煙

そのほか、時に歯の詰め物(歯科用金属)の除去をすることもあります

薬物療法など

  • 外用療法(塗り薬)
  • 内服療法(飲み薬)
  • 光線(紫外線)療法
  • 注射療法(生物学的製剤による治療)

日常生活で気をつけるポイント

  • 感染症の予防
  • 皮膚を刺激しないこと
  • 便秘や下痢の改善
  • ストレスや過労を避ける

1) Griffiths, CE., et al.:Rook's textbook of dermatology Massachuset Bookwell, 35:52, 2004
2) 石黒壽ほか.: 歯学., 88: 256, 2000
3) Masui, Y., et al.:J. Eur. Acad. Dermatol. Venereol., 2019 Jan 17. [Epub ahead of print]
4) 小林里実.: 皮膚臨床., 60: 1539, 2018

治療法は医師と相談しながら決めていきましょう

掌蹠膿疱症の治療では、患者さん自身が治療に積極的にかかわり、ライフスタイルなどに合った治療方法を見つけることが大切です。
掌蹠膿疱症は、決して治らない病気ではありません。しかし、患者さんによっては長引くこともあり、その間は症状が出たり、良くなったりをくり返します。手のひらや足のうらの症状がいったん治ってもまた悪化するなど、治療の過程でときにはストレスを感じるかもしれません。皮膚や関節の症状によってどのようなことで困っているのかを主治医に伝え、一緒に治療を継続することが大切です。

治療に対するモチベーションを維持するためにも、ご自身のライフスタイルや性格、治療に対する想いや治療ゴールなどをきちんと医師に伝え、ご自身が納得できる治療法を選択しましょう。