総合監修:NTT東日本関東病院皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生

文字の大きさ

乾癬の治療法

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬があり、さらに軟膏、クリーム、ローションなどの剤形があります。それぞれの塗り薬に特徴があり、皮疹の程度や部位に合わせて選択されます。

塗り薬の種類

塗り薬は、皮疹に直接塗ることで治療効果を発揮します。乾癬治療では炎症を抑える「ステロイド外用薬」、角質細胞の異常な増殖を抑える「活性型ビタミンD3外用薬」の2種類が用いられます。近年では、2種類をあらかじめ混合した「配合剤」も使用できるようになりました。

■ ステロイド外用薬
炎症を抑える作用を持った塗り薬として、乾癬治療に古くから用いられています。薬の効果の強さによって、最も強い、非常に強い、強い、中程度、弱い、の5段階に分類されており、症状の程度に応じて使い分けます。比較的短期間で効果が得られますが、長期使用により、皮膚が薄くなる、内出血によるアザができやすくなる、などの副作用が現れることがあります。

■ 活性型ビタミンD3外用薬表皮
細胞の異常な増殖を抑え、免疫反応を調節します。皮疹のない状態(寛解:かんかい)から皮疹が再び現れる(再発)までの期間が長いことがメリットですが、効果が現れるまでに時間を要し、ヒリヒリ感などの皮膚刺激症状(特に顔)が出ることがあります。まれにのどの渇きや脱力感、食欲不振などの全身的な副作用が起こる場合がありますので、そのときは必ず医師に相談してください。

塗り薬の剤形

塗り薬の剤形は主に3種類であり、皮疹の状態や部位に適した剤形を選びます。例えば、肘や膝には軟膏が、頭皮にはローションが適しています。塗りにくい場合や使用感が気になる場合には皮膚科医に相談しましょう。

■ 軟膏:水分よりも油分が多く、乾燥しやすい部位などに適している。
■ クリーム:油分よりも水分が多く、軟膏より伸びがよくサラッとしている。
■ ローション:主に水分からできており、薬液が広がりやすい。

外用療法(塗り薬)の注意点

塗り薬は、医師や薬剤師の指示を守って規則正しく、適正な量を使用することが大切です。
■ 塗る量や回数について医師の指示を守りましょう
自己判断で塗る量を増やしたり、回数を減らしたりすると、思わぬ症状の悪化を引き起こすことがあります。一般に、0.5gで大人の手のひら2枚分の面積が塗れます。軟膏やクリームでは大人の人差し指の先から第一関節まで押し出した量、ローションでは1円玉大の量が目安になります。医師の指示を守って、強くこすらずやさしく塗りましょう。(「今さらだけど、塗り薬の正しい塗り方は?」の項参照)

外用療法(塗り薬)の注意点

■ 毎日規則正しく塗りましょう
歯磨き後や入浴後など、塗るタイミングを決めておくと、忘れずに塗ることができます。特に入浴後は薬が浸透しやすいため、すぐに塗ると効果的です。

■ 副作用が現れたときはすぐに相談しましょう
外用薬の使用頻度によっては、かゆみや刺激症状などの皮膚の副作用が起こることがあります。このような副作用が現れたときは、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

■ 塗り薬の保管に注意しましょう
キャップをきちんと閉め、通常、室温で保存します。高温になるところや、直射日光が当たる場所は避け、子どもの手の届かないところで保管しましょう。

外用療法(塗り薬)のコンビネーション療法


乾癬の治療法にはそれぞれ長所と短所がありますが、複数の治療法を組み合わせることで治療効果を高め、副作用のリスクを下げられる場合があります。2つ以上の治療を同時に行うことを「コンビネーション療法」といい、「外用療法+外用療法」「外用療法+内服療法」「外用療法+光線療法」の組み合わせがあります。

また、コンビネーション療法のひとつに「シークエンシャル療法」があります。はじめに効果の強い治療方法を用い、症状の改善に合わせて段階的に副作用が少ない治療へ移行する方法です。例えば外用療法では、ステロイド外用薬で早期に寛解導入し、活性型ビタミンD3外用薬へ移行する方法がよく用いられます。現在は、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬とをあらかじめ配合した製剤も使用できるようになっています。

シークエンシャル療法