総合監修:NTT東日本関東病院皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生

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乾癬の説明

乾癬には免疫機能の異常が関わっており、免疫に異常をきたしやすい体質の人に、環境ストレスなどの刺激が加わることで乾癬を発症すると考えられています。

乾癬の患部では、皮膚の表面に角質が積み重なり、皮膚が厚くなっています。これは、皮膚のターンオーバーつまり新陳代謝が異常に活発になり、通常の約10倍の速さで皮膚がつくられるためです。なぜこのようなことが起きるのか、そのしくみはまだ完全には解明されていませんが、最近の研究により免疫機能の異常が関与していることが分かってきました。

乾癬発症の原因として、免疫の異常が関連していると考えられています

乾癬の発症や悪化の原因となる3つの要因

乾癬には、遺伝・外的・内的の三つの要因が関わっています。

一つ目の要因は遺伝的素因になります。免疫に異常をきたしやすい体質の人に、外的な因子と内的な因子が加わることで乾癬が発症すると考えられています。
さらに、この体質は後天的な環境要因によっても変化します。もともと免疫に異常をきたしやすい人は、環境ストレスによって、その傾向が強まることが報告されています。これらの環境ストレスになるものしては、薬物、汚染物質、ストレスなどが考えられています。1)

二つ目の要因は外的因子です。具体的にはストレスやたばこ、薬剤、アルコールなどが挙げられます。
私達の身体は、これらの外的因子の影響によって大きく変化します。身体は、その状態に対応しようとするため、その過程でホルモンバランスが大きく変化します。このホルモンバランスの変化によって、免疫機能も変化し、炎症反応を促す物質が作られます。その結果、乾癬の発症や悪化につながると考えられています。2)

三つ目の要因は内的因子です。具体的には肥満や糖尿病、妊娠などが挙げられます。
肥満や糖尿病では、体内の脂肪細胞が、大きくなったり増えたりする要因となり、その脂肪細胞は炎症反応を促す物質を作り出すため、乾癬の発症や悪化を引き起こすことがあります。また妊娠中はホルモンバランスが大きく変化します。このホルモンバランスの変化によって免疫機能が変化し、妊娠中には一時的に乾癬が改善することがあります。3)

このように様々な原因によって、免疫機能に異常が生じて、乾癬の発症や症状の変化が引き起こされると考えられています。
では乾癬に関わる免疫機能の異常とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

乾癬は、免疫に異常をきたしやすい体質の人に、外的な因子(ケガや感染症、ストレスや乾燥などの刺激、食生活)や内的な因子(糖尿病、高脂血症、肥満など)が加わることで発症するのではないかと考えられています。

※1 ストレス、たばこ、アルコール、脂っこい食事、衣服の 刺激、日光、季節(冬)、乾燥、外傷、風邪、慢性扁桃 炎、薬剤
※2 肥満、妊娠・出産、脂質異常症、糖尿病 など

乾癬でみられる免疫機能の異常

乾癬では、遺伝的素因に様々な外的要因や内的要因が加わることによって免疫機能に異常が生じます。4)
これは、具体的には免疫機能が恒常性(身体の状態を常に一定に保とうとする仕組み)を保てなくなる状態になります。

通常であれば、一時的に免疫反応が強くなっても、恒常性によって元の状態に戻ります。しかし乾癬では恒常性が保てなくなり、免疫反応が強くなった後、元の状態に戻りにくくなってしまいます。

ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか。

免疫機能の恒常性は、免疫細胞同士が連絡を取りあって保たれています。しかし様々な要因によって、免疫細胞同士の連絡がうまくいかなくなると、恒常性が保てなくなり、元の状態に戻りにくく、乾癬が発症したり悪化したりすると考えられています。

それでは、免疫細胞がどのように連絡を取り合っているのか具体的に見ていきましょう。

乾癬でみられる免疫機能の異常

免疫細胞には、マクロファージ、樹状細胞、T細胞などがあります。これらの免疫細胞は、互いに連絡を取り合いながら、免疫機能を調整しています。これらの免疫細胞同士の連絡に使われるのが、サイトカインと呼ばれる小さなタンパク質です。免疫細胞はこのサイトカインを介してバランスを取りながら活動しています。
しかし、ストレスや外傷、感染症状などで、このバランスが崩れると、免疫細胞からサイトカインが大量に放出され続けてしまいます。

免疫細胞から放出されたサイトカインは、皮膚に炎症を起こしたり、皮膚細胞を過剰に作り出したりします。この皮膚の変化が、免疫細胞のさらなるサイトカイン放出を引き起こし、症状がどんどん悪化する要因となります。

では乾癬の症状を改善させるために、私達は何ができるのでしょうか。

乾癬の症状改善のためにできること

乾癬の症状改善のために日常生活の中でできることは、生活習慣に気を配り、体調を整えることになります。具体的には飲酒や喫煙、食事などに気を配り、定期的に運動をすることが治療をすすめる上で大事になることが考えられています。5)

飲酒や喫煙、肥満や糖尿病は、サイトカインを過剰に作り出す原因となり、乾癬の悪化につながることが考えられています。

また、乾癬には体質的な要因も関わっています。特に、メタボリックシンドロームでは、乾癬発症のリスクが非常に高まることが知られています。メタボリックシンドロームのある人は、食事管理や定期的な運動で体質を改善することで、乾癬の症状が軽減することが知られています。6)
体重が気になる方は、一度出来る範囲で、生活習慣を見直してみるのもよいのではないでしょうか。

参考 日常生活で工夫できることは?

乾癬の症状改善のためにできること

動画:深く知る乾癬のメカニズム

乾癬が起こるメカニズムを動画で紹介しています。


このように、乾癬で皮膚の新陳代謝が異常に活発になるのは、免疫機能の異常が原因であり、乾癬は皮膚の病気であると同時に、身体全体に関与する病気でもあると考えられています。

参考

  • 1) Javierre BM, Hernando H, Ballestar E. Environmental triggers and epigenetic deregulation in autoimmune disease.Discov Med. 2011;12(67):535-545.
  • 2) Pondeljak N, Lugović-Mihić L. Stress-induced Interaction of Skin Immune Cells, Hormones, and Neurotransmitters. Clin Ther. 2020;42(5):757-770. doi:10.1016/j.clinthera.2020.03.008
  • 3) Ruiz V, Manubens E, Puig L. Psoriasis in pregnancy: a review (I). Actas Dermosifiliogr. 2014;105(8):734-743. doi:10.1016/j.ad.2013.06.004
  • 4) Afonina IS, Van Nuffel E, Beyaert R. Immune responses and therapeutic options in psoriasis. Cell Mol Life Sci. 2021;78(6):2709-2727. doi:10.1007/s00018-020-03726-1
  • 5) Ko SH, Chi CC, Yeh ML, Wang SH, Tsai YS, Hsu MY. Lifestyle changes for treating psoriasis.Cochrane Database Syst Rev. 2019;7(7):CD011972. Published 2019 Jul 16. doi:10.1002/14651858.CD011972.pub2
  • 6) Naldi L, Conti A, Cazzaniga S, et al. Diet and physical exercise in psoriasis: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2014;170(3):634-642. doi:10.1111/bjd.12735