総合監修:NTT東日本関東病院皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生

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乾癬の説明
乾癬は皮疹(ひしん)を伴う慢性の皮膚の病気であり、特徴的な皮疹の形や分布などから比較的容易に診断できます。乾癬と区別しにくい症状がある場合は、皮疹の一部をメスで切り取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行います。

乾癬には種類がある

乾癬にはいくつかの種類があり、それぞれで症状の現れ方は異なります(「乾癬の種類について」の項参照)。最も一般的なタイプは尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)と呼ばれ 、乾癬全体の約9割を占めています1)

※「尋常性」とは普通にみられ、ありふれていることを意味します。

乾癬には種類がある

乾癬の主な症状

乾癬になると、皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、皮膚が盛り上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、その表面を覆う銀白色の細かいかさぶた「鱗屑(りんせつ)」、それがフケのよ うにボロボロと剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」が起こります。

かゆみの程度は個人差がありますが、乾癬患者さんの約5割でかゆみがみられ、時に強いかゆみを生じる場合もあります。また、2~4割の患者さんで爪の病変がみられます1),2)


鱗屑、落屑

乾癬では頭皮や生え際の皮疹がよくみられ、初発症状のこともよくあります。
また、肘や膝などの物理的刺激を受けやすい部位でも乾癬の皮疹がよくみられます。

鱗屑、落屑

紅斑

赤い皮疹を紅斑といい、尋常性乾癬で特徴的です。また、まるく、少し盛り上がることもあります。


紅斑


爪の病変

乾癬患者さんの2~4割に爪の病変がみられます。


爪の病変



NTT東日本関東病院皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生 提供

日本の乾癬患者数、発症時期、性別

現在、日本の乾癬患者さんは約50~60万人(人口の約0.4~0.5%)3),4)と推計されています。欧米(人口の2~3%)5)に比べると少ないですが、近年は生活習慣の変化などさまざまな要因から、日本でも患者さんの数が増加しています。

日本における男女比は2:1と、男性の方が多くみられます1)。発症年齢は思春期から中年以降と幅広いですが、男性では50歳代、女性では20歳代と50歳代が多いとされています1)

乾癬の検査と診断

乾癬の診断では、はじめに問診、視診(患部を見る)、触診(患部を触る)により皮膚の状態を調べます。
皮膚科専門医であれば、これだけでほぼ正確な診断ができますが、まれに乾癬と区別しにくい症状がみられる場合があり、その際は皮膚生検を行います。皮膚生検では、局所麻酔をして米粒大の皮膚を切り取り、皮膚の表皮や真皮の状態を顕微鏡で調べます。

乾癬の検査と診断

乾癬と診断されたら

乾癬と診断されたら治療が始まりますが、治療内容を決めるには乾癬の症状がどれだけ重いか、重症度を評価する必要があります。
また、乾癬では皮膚症状などの身体的なつらさだけでなく、肌を見られることにストレスを感じる、夏場に薄着ができない、フケが多くて髪を切りにいけないなど、日常生活の不便さもあります。

これは「生活の質(QOL)」とよばれ、苦痛の程度は必ずしも乾癬の重症度と一致するわけではありません。そのため、治療方針を決める上では、乾癬の症状だけでなく、苦痛の程度、どの程度治したいかという患者さん本人の希望、ライフスタイルなどが考慮されます。
※QOL:クオリティ・オブ・ライフといい、治療効果を示す指標にもされています。

乾癬の症状の評価方法については「重症度判定について」をご覧ください。

参考
1)Takahashi H, et al: J Dermatol, 38:1125, 2011
2)Tanaka T, et al.: J Dermatol, 43, 650, 2016
3)Kubota, K., et al.: BMJ. Open., 5:1, 2015.
4)照井正 他: 臨床医薬, 30:279, 2014.
5)小宮根真弓他:リウマチ科, 44:335, 2010