かゆみの症状に悩まされている乾癬患者さんも多いことでしょう。かゆいとついその箇所を掻いてしまいがちですが、掻くことは皮膚を傷つけ、皮疹を広げて悪化させてしまうこともあります。
では、つらいかゆみにどう対処すればよいのでしょうか。このページでは、日常生活のなかでの工夫や、かゆみを和らげるのケアなどについてご紹介します。
掻くことは逆効果。肌には刺激を与えないことが大事
かゆいところを掻くと確かに一時的にはスッキリしますが、その心地良さを求めて掻くことが習慣になってしまったり、掻き壊すまで止められなくなってしまったりしては、逆効果です1)。
乾癬では、皮疹のない部位に刺激が加わると、そこに新たな皮疹が生じることがあります。これは「ケブネル現象※」と呼ばれ、掻くことでさらにかゆみが増してしまうことになりかねません。肌にはなるべく刺激を与えないようにすることが大切です。
※ケブネル現象に関する詳細は「日常生活で工夫できることは?」をご覧ください。
日常生活でかゆみと上手く付き合うには
かゆみが強いときは冷やす
かゆみが強く、掻きたくてたまらなくなるときは、患部を冷やしてみましょう。一時的にかゆみを鎮めることができます2)。
ただし凍傷にならないよう、氷のうや氷は直接肌に当てず布などでくるむようにしてください。

意識を他のことに集中させる
掻くことが習慣になってしまっている人は、掻きそうになったらまず「両手を組む」などして、長く息を吐いてリラックスすることを習慣にしてみましょう1)。そのうえで仕事や勉強、読書やドラマ鑑賞など、かゆみを忘れて集中できることに意識を向けるとよいでしょう。
刺激の強い食べ物や熱いスープ、お酒などは控える
香辛料などの刺激物や熱いスープなど身体が温まる食事、お酒などは、かゆみを増すことがあるため注意が必要です。
ストレスを軽減する
かゆみには心理的な要因も大きく影響する1)ので、ストレスをためないように、リラックスして過ごすことも大切です。
毎日のスキンケアでかゆみを抑えよう
皮膚に炎症が起こるとかゆみが誘発されることが知られています3)。紅斑(こうはん)のでき始めや、そのうえに鱗屑が重なったときなどにかゆみを感じやすいようです4)。
日頃から乾癬の治療をきちんと続けることや、肌を清潔に保ち乾燥を防ぐスキンケアが、かゆみを防ぐためにも大切です。
入浴では肌をこすらない
入浴時にゴシゴシ洗うと、その刺激で「ケブネル現象※2」が起きかゆみを増 すことになりかねないので、せっけんを手に泡立て泡を身体にのせるようにしてやさしく洗いましょう。
身体が温まるとかゆみが起きることがあるので、気をつけてください5)。
入浴後は皮膚の水分が失われやすい状態になっていますので、保湿剤などでケアしましょう。
※2皮疹のない部位に刺激が加わるとそこに新たな皮疹が生じること。
ケブネル現象に関する詳細は「日常生活で工夫できることは?」をご覧ください。
しっかり保湿する
肌が乾燥すると、外界の刺激に対して過度に敏感になり、衣服のようなささいな刺激でもかゆみが起こりやすくなります。特に空気の乾燥する季節は、保湿剤でケアしたり加湿器などを使って、肌の乾燥をできるだけ防ぎましょう。
皮膚の正しいケアについては「皮膚を正しくケアする方法は?」をご覧ください。
かゆみがつらいときは医師に相談しましょう
乾癬の治療では、患者さんの皮膚の状態を観察し、患者さんが抱えるつらい症状を和らげられるように、一人ひとりに合わせた方法が選択されます。かゆみが気になるときには、受診の際に主治医に相談するようにしましょう。