総合監修:医療法人桜仁会 いがらし皮膚科東五反田 院長 五十嵐 敦之 先生

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乾癬Q&A

乾癬患者さんの多くが「衣服」に関する悩みを抱えています。
実際に500名の乾癬患者を対象に調査を行ったところ、約7割の方が衣服に対してストレスを感じていることが分かりました。

ストレスだと感じている割合

具体的な衣服のストレスには、「軟膏が衣服に付着して洗濯に苦戦する」「落屑が肩に溜まって目立つ」「血がにじんでしまう」「肘や腰回り・首回りなどが擦れやすい」といったものがあります。
中でも「肘や腰回り・首回りなどが擦れやすい」といったストレスは症状の悪化に繋がる可能性があるため、衣服の選び方にはその素材などにも工夫が必要です。

本ページでは、どのような素材の衣服を選ぶと良いのか、その特性を詳しく見ていきましょう。

ストレスだと感じている割合

肌への負担が少ない天然素材の衣服を選ぼう

シルクやコットン、ポリエステルやナイロンなど、私達が日々、身に付けている衣服や下着には様々な素材が使われています。それぞれの素材にメリット・デメリットはありますが、肌への刺激を最小限に抑えたいと考えたら、やはりシルクやコットンなど、天然素材のものを選ぶのがお勧めです。特に、衣服の擦れが症状の悪化につながりやすい乾癬患者さんの場合は、肌への負担が少なく柔らかい着心地の天然素材を選びましょう。

石油から作られる「化学繊維」と動植物を使った「天然繊維」

繊維には大きく分けて、人工的・化学的に作り出した「化学繊維」とシルクやコットン、ウールなど自然界に存在する動植物などを活用した「天然繊維」があります。

化学繊維に分類されるものには、例えばナイロンやポリエステルなどがあり、主に石油から作られています。一方で天然繊維は、植物から作られる「植物繊維」と動物から作られる「動物繊維」に大別することができます。植物繊維の代表は、コットン(綿)やリネン(麻)で、動物繊維の代表と言えばシルク(絹)やウール(羊毛)が挙げられます。

石油を主な原材料とする化学繊維は、どうしても皮膚への刺激が強くなってしまうことがあります。そのためアレルギーがある人や肌が弱い人、皮膚がデリケートな乳幼児などは、天然繊維の素材を使った衣服を身につける方が安心です。

乾癬患者さんの場合も衣服と肌がこすれる刺激から、かゆみが出たり皮膚症状が悪化することがあります。そのため肌への刺激をできるだけ軽減するために、普段、身につける衣服は肌に優しい天然繊維を選ぶことがお勧めです。

タンパク質でできているシルクは肌との相性が抜群

天然繊維の中でも、例えばシルク(絹)は肌ざわりがよく、古くから高級な素材としてドレスなどに使われてきました。蚕の繭は、蚕の幼虫が成虫になるまでの間に過ごすための殻のようなものです。そのため、幼虫を外敵や自然環境から守るために、湿度や乾燥から保護する働きを持っています。

それに加えて、繭糸を原材料とするシルクは、フィブロインと呼ばれるタンパク質からできています。人間の皮膚に近い、動物性タンパク質でできているため、シルクは化学繊維と比較して、皮膚への違和感を感じにくいと考えられます。

さらりとした肌ざわりで心地よさが感じられるほか、保温効果があるため、1枚で暖かく感じられることもメリットです。何枚も重ね着して蒸れる心配が少ないため、肌が敏感な人にお勧めです。

皮膚への負担が少ないオーガニックコットンもお勧め

シルク同様に肌への負担が少ない素材として、コットン素材が挙げられます。コットンは繊維の先端が丸くなっているため、化学繊維と比較すると柔らかい肌ざわりを感じることができます。また、繊維の中心部が空洞になっていて、汗や水分を吸収しやすいため、蒸れにくいこともメリットです。

最近では化学肥料を使わずに、有機肥料を使って土壌作りを行うオーガニックコットンを使った衣服も登場しています。より肌への刺激を抑えたいと感じたら、オーガニックコットンの衣服を試してみてもいいでしょう。

天然素材には上記のシルクやコットンのほかに、麻の素材も挙げられます。麻の特徴は、通気性や放湿性がよいこと。汗をかいてもすぐに吸って発散させてくれることから、夏場を通して通年、着られるのがメリットです。しかし、シルクやコットンと比べると柔らかさは少なく、麻特有のザラザラした感触が気になる人もいるかもしれません。そんな時は、シルクやコットンなどほかの天然繊維を試してみるといいですね。

すべての素材の衣服に共通して言えることですが、より肌への刺激を抑えるのであれば、縫い目が丁寧に処理されているものや、裏地・縫い糸などにも天然繊維が使われているものを選べば、より安心です。毎日、身につける衣服ですから、肌への負担が少なく、ストレスを感じにくい素材を選びたいですね。

服と肌の関係については「FACT FASHION服と肌の関係」をご覧ください。

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