総合監修:医療法人桜仁会 いがらし皮膚科東五反田 院長 五十嵐 敦之 先生

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乾癬Q&A

年間通して湿度をコントロールして肌を守ろう

乾癬は、肌の乾燥によって症状が悪化することがあります。冬場は年間で最も空気が乾燥する季節ですし、エアコンによる空気の乾燥は、夏の冷房でも冬の暖房でも起こります。そこで空気の乾燥による症状の悪化やかゆみの出現を防ぐため、1年間を通して加湿器や湿度計を活用し、肌を乾燥から守ることが大切です。

冬場は最も空気が乾燥する季節

冬になると気圧配置の影響やエアコンなどの暖房器具の使用によって空気が乾燥します。
エアコンは部屋の湿度を下げるほか、風が直接、肌にあたることで肌から水分を奪います。

乾癬患者さんにとって空気の乾燥は大敵です。一般的に、乾癬の症状は乾燥によって悪化することが知られているからです。
乾癬の症状が夏場に軽くなり、冬場に悪化するケースが多いのは、ひとつには乾燥も関係していると考えられています。

また、乾燥すると肌のかゆみにつながります。かきむしってしまうとそこからケブネル現象(※1)が起こる可能性もあるため、やはり冬場は特に注意が必要でしょう。
※1ケブネル現象に関する詳細は「日常生活で工夫できることは?」をご覧ください。

空気が乾燥した状態はウイルスなどによる感染を引き起こしやすい点にも注意が必要です。
インフルエンザなどの感染症を引き起こすウイルスは、温度が低く、乾燥した場所の方が活性化されて、長時間、空気中に漂って増殖すると考えられています。反対にインフルエンザウイルスなどは湿度の高い環境に弱く、湿度が一定以上の環境を保つことで感染力や増殖力が低下するとも言われています。1)
そのため適度な湿度を保つことは、感染症対策にも有効です。

乾癬の病気の仕組みについては明らかになっていないことも多いですが、症状を悪化させる外的要因としてストレスや皮膚への摩擦に加え、風邪や扁桃炎などの感染症も挙げられます。
空気の乾燥を防ぐことで、肌のかゆみなどから来る症状の悪化を予防するとともに、感染症も防いで乾癬への影響を最小限に抑えましょう。乾癬と症状の悪化については「乾癬の原因について」をご覧ください。

参考 日常生活で工夫できることは?

ベストな湿度、40~60%を保とう

室内の乾燥を防ぐには、濡れタオルや洗濯物を部屋に干すなども効果的ですが、ベストな湿度を保つためにはやはり加湿器を活用するのがお勧めです。

加湿器には気化式や超音波式、スチール式など様々なタイプがあります。気化式は、水を入れた容器にファンフィルターを入れて、フィルターの水分を気化させて(気体に変えて)加湿する仕組みです。フィルターの交換が必要になりますが、適切なタイミングで交換を行えば衛生的に利用できるでしょう。

超音波式は水を超音波によって微振動させて、水分を霧状に変えて加湿する仕組みです。スチームが噴出する付近に物を置くと、カビなどの原因になる点には注意が必要ですが、シンプルな構造の製品が多く比較的価格が低いなど、手に入りやすいというメリットがあります。

スチーム式は温めて蒸発させた湯気を利用して加湿する仕組みです。熱によって効率的に水分を蒸発させるため、短時間で加湿効果が得られること、また煮沸による殺菌効果で衛生的に使用できることがメリットです。反面、電気代がかかったり、熱を発生するため小さい子供がいる場合などは安全面で配慮が必要です。

乾燥し過ぎは肌トラブルの原因にもなりますが、湿度が高すぎてもダニの発生につながるなど注意が必要です。一般的に快適と感じる部屋の湿度は、40~60%程度といわれています2)。ベストな湿度を保つためには、シンプルな物で構わないので湿度計を使ってみましょう。できれば各部屋に1つずつ設置して数値できちんと確認することで、適切な湿度を保ち、肌に優しい環境を整えたいですね。